一人で悩んでませんか?
借金で悩んでいるのは、あなただけではありません。

今思えばあれは借金取りだったのだろう

小学校の頃、いつも半袖半ズボンで学校に来るI君というクラスメイトがいた。私はあまり仲良くなかったが、真面目な印象の子だった。
ある日そのI君が風邪で休んで、週末だったのでお母さんが給食袋や上履きを代わりに持って帰った。だがそれ以来I君が学校に再び来ることはなかった。
先生も欠席の連絡はないというし、同じ団地に住む子達によると、I君のお家のベランダには洗濯物が干しっぱなしになっていておかしい、と団地内で噂になっているという。小学生の私たちにとっては身近に起こった大事件ではあったが、だからといってなすすべもなかった。
数日経った日、休み時間に校庭で遊んでいた男子たちが興奮して話し出した。聞いてみると、知らない大人の男の人たちが校庭にやってきて(その頃の学校の防犯は東京でもそんなものだった)、「君たち何年何組?I君の同級生?I君は今どこにいる?」と聞かれたそうだ。男子たちは「何もわからない」と言い通したところ、男たちは帰って行ったそうだ。
子供心にも、「そんな漫画みたいなことがあるのかな?男子たちが嘘ついてるんじゃないかな?」と思ったが、男子たちも本当にびっくりしている様子だった。
後になって先生が明かしたところによると、先生はI君一家が事情があって引っ越さなければならなくなり、理由も明かせない、ということを知っていたそうだ。I君は引っ越し先で元気にしている、ということだったが、私たちには本当なのか嘘なのか確かめようもなかった。
大人になった今は、あれが夜逃げだったこと、そして借金取りが小学校まで来ていた、ということを理解し今更ながら凄い状況だったなあと思っている。