私がまだ20歳の頃、ひとりの優しい男性と恋に落ちました。高校を卒業してすぐ、地元のホームセンターに就職した私は、職場でうまく馴染めず仕事も中々覚えられなくてよく裏で泣いていました。そんな時、年上の先輩たちに目をつけられ些細なミスで叱られ、居場所がなくなっていました。心がどんどん疲れて、笑うことすらできなくなっていたそんなとき、別の部署の男性スタッフに声を掛けられ慰めてもらいました。コーナーが遠かったので何度か顔を合わせていたくらいの人で、ある日私が倉庫で泣いていたのを見かけて声をかけてくれました。驚くほど優しく、言葉も態度もあたたかくて、こんな人がいるんだなぁと涙がボロボロ出てきました。彼は何かを求めるでもなく、ただ私の話を聞き、隣にいてくれました。自然とそこから会話するようになり、2人で会う回数も増えた所なんと妊娠が発覚!若かったし不安もあったけれど、「この人となら大丈夫」と信じて、結婚することに。アパートで2人暮らしを始め元々貯金していたお金もあったので、無事出産費用も払うことができて2人から3人に増え幸せに暮らしていました。彼は私が出産して大変だと料理も掃除もしてくれて、私は本当にいい人に出会えてよかったと思っていました。けれど、いつからか家の中の物が少しずつなくなっているように感じました。最初はどこかにしまったのかなと思っていたのですが、家電や小物、果ては私の私物までなくなっていくので流石におかしいなと気づきました。不安になって彼に問い詰めたところ、ごめん!ギャンブルで借金をしていると告げられ頭が真っ白になりました。財布も家計も彼に任せきりだった私は、全く気づけなくて年上で若い私よりしっかりしていると勝手に決めつけていました。家の物はほとんど売られてしまい、残った現金も底をついていました。私の貯金も子供に使ってしまったのでミルクを買うお金すらなくなったとき流石の私もこの子を守らないとと我に返り、私は赤ちゃんを抱えて泣きながら実家に帰り親には心配をかけたくなくて何も言わずにいたけれど、すべてを話しました。母は優しく受け入れてくれて父は流石に怒ってくれて旦那を呼び出し淡々と詰めていたのをボーッと眺めていました。そして、結局結婚生活を続けていくのは無理だと判断したので離婚することになりました。あんなに優しかった彼が、裏では家族の生活を崩していたことが今でも信じられない思いです。でも、あのとき勇気を出して離れたから、こうして子どもと両親と楽しく生活出来ているのかなと思っています。「優しさ」だけじゃ生活できません。嘘の優しさで家族を騙し借金をするような人はこれからも幸せにはなれないだろうと思っています。
どんどん物がなくなっていく!?
